50歳を過ぎたら帯状疱疹にご用心ください。

帯状疱疹はどんな病気?

帯状疱疹とは、「水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされる感染症で、初めて感染した時は、水ぼうそうとして発症します。水ぼうそう治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏していて、加齢やストレス、過労や免疫抑制剤などで免疫力が低下するとウイルスが再活性化し、痛みを伴う水ぶくれのような多数の発疹が生じます。これが帯状疱疹です。通常は生涯に1回しか発症しませんが、まれに2回、3回と再発することもあります。

症状

帯状疱疹は体の右側または左側どちらか一方の神経に沿って出るのが特徴で、ピリピリ、チクチク、ズキズキとする神経痛が出てから1〜2週間後、虫刺されのような赤く盛り上がった発疹が出現します。その後、水ぶくれができ、それが破れて最終的にかさぶたとなって治癒します。発疹が出現する前の1〜2週間は先行痛という先立つ痛みがあり、原因不明の痛みとして色々な診療科を受診する方が多く、不安が特に強い時期です。耳や顔面の痛みで耳鼻咽喉科を受診するも明らかな炎症所見を認めず、発疹が出るまで診断がつきにくく、確定診断まで時間を要すこともあります。

帯状疱疹後神経痛(PHN)という長引く痛み

通常、皮膚症状が治ると同時に痛みがなくなるのに対し、帯状疱疹後3ヶ月以上、場合によっては10年以上ピリピリとした串で刺されるような痛みが残ることがあります。これを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」といい、この痛みのために離職を余儀なくされることもあります。年齢が高くなればなるほどPHNへ移行する確率も高くなり、PHNが残った場合はペインクリニックなどの痛みの専門家による治療が必要になります。

注意すべき合併症

「目や耳の周囲の帯状疱疹」は特に合併症が重篤で注意が必要です。「目の周囲」に帯状疱疹が出現すると角膜ヘルペスによる視力低下や失明、物が二重に見える複視などの合併症を引き起こすことがあります。また、「耳周囲」では、ラムゼイ・ハント症候群というめまいや難聴、顔面神経麻痺を伴う症状が出ることがあります。顔面の帯状疱疹の場合は入院して点滴治療が必要なこともあります。

治療〜早めの受診が大切です〜

一旦発症したらできるだけ早く医療機関を受診し、抗ウイルス薬の内服か点滴治療を受けます。同時に痛みどめの内服や外用薬を併用します。治療が遅れると合併症や後遺症を残しやすくなります。

予防〜ワクチンという選択〜

帯状疱疹は、50歳代から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症すると言われています。帯状疱疹はワクチンである程度は予防できますので、50歳を過ぎたら帯状疱疹ワクチンを接種することをお勧めします。ワクチンは2種類あり、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。抗体を保持する期間は生ワクチンは約5年、不活化ワクチンは10年以上、抗体がつく確率は不活化ワクチンの方が高いと言われています。不活化ワクチンは自費診療で、2ヶ月間隔で2回接種が必要なため、費用が高額になりますが、当院では、費用対効果の高い不活化ワクチンを採用しております。また、令和7年4月から、鎌倉市の委託事業として、65歳以上の鎌倉市民を対象とした帯状疱疹予防接種の費用助成が始まります。対象者の方には、ピンク色のお知らせハガキが郵送されます。予約制となりますので、帯状疱疹不活化ワクチンをご希望の方は、お電話か受付窓口で必ず予約をお願いいたします。